会員の拡大
筆者は、新生国民会議の事務局長に平成五年四月に就任した。最初の仕事は、会員の拡大、とりわけ海事団体以外の会員の獲得であった。事柄の性質上、会員は公益法人を中心に考え、海や休日と関係の深いところに呼びかけた。観光・レジャー関係、運輸関係、漁業関係などをはじめとして、最終的には、経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所および日本経営者連盟の、いわゆる経済四団体や最大労働組合の連合など経済界、労働界を含め百九十一団体が国民会議の会員となった。

 

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会員数の拡大もさることながら、国民会議の会員構成が経済界、労働界を含むものになったことは画期的なことであり、後に国会活動でも大きな力となった。
署名活動
署名集めは、何名の人が署名したか、つまり「海の日」制定に賛同したかの数の問題である。と同時に、署名運動を通じて「海の日」制定運動のPRになるという効果も無視できない。署名集めの目標数は、他のさまざまな署名活動と格段の差を示すため、一千万人とすることにしたが、この数は赤子から老人や病人までを含む人口の一割近い数であり、これだけの署名を集めることは、容易なことではない。
数を多く集めるためには、組織を使って集めることが効果的であり、そうしないと大した数は集められない。また署名活動のもう一つの効果であるPRを考えれば署名活動そのものを、できる限り人目の多い所で目立つように行う必要がある。この両方の観点から署名運動は、組織を利用して数を稼ぐ方法と、さまざまなイベントや催し物の場を利用して、広く一般の人たちに直接呼びかける方法とを併用することとした。
組織的には、中央と地方の各会員団体に依頼して、会員団体の傘下にある各企業や取引先などの従業員あるいは労働組合のネットワークを通じて集める方法をとり、一般の人への直接呼びかけについては、中央・地方の海の旬間行事や海事関係催し物を中心に、人の集まるところに国民会議(中央と地区)の事務局職員やアルバイトが出かけて行って呼びかける方法を採用した。

 

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推進会議時代からの準備もあって、最初の六百万人までは、坦々として集められたが、その後の署名数増加は簡単ではなかった。幹事団体や熱心な会員団体、それに各地区事務局などに依頼して活動を強化することとした。
日本内航海運組合総連合会(内航総連)をはじめとする幹事団体の努力や地区職員の著聞、さらには海浜美化に強い関心を有する人が自分の住む団地住民に呼びかけてくれたこと、「海の日」の目的を知って共鳴した女子中学生が同級生たちに呼びかけて署名を集めてくれたことなどがあって、少しずつ署名が増加し、平成五年末。ころには八百万人にまで達した。
しかし、それから先が遅々として進まない。平成六年に入り、調整を進めていた連合の署名協力が得られることになり、さらに内航総連が新たに集めた署名や商工会議所の支援を得て地区推進会議が集めた署名も加わって、ようやく一千万人達成ができたのは、平成六年六月のことである。署名数は、最終的には一千三十八万人となった。
署名の宛名は、署名が行われた

 

 

 

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